にちじょう

なにげないひびを、つらつらと

メタルギアソリッドガンズ・オブ・ザ・パトリオット(小説)

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Amazon様の画像から借用)

 

日記にも描いたが、めちゃちゃ面白かったので纏めておく。

 

他の方にも読んで欲しい!という意味合いも大きいのだけれど、読後感を文にして閉じ込めておきたいという思いもある。

 

(ネタバレを含まないよう配慮しています)

 

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この本の語り部は、オタコンである。

オタコンっていったら、そう、まさにギークという感じのアイツである。

常にスネークと行動を共にしているし、語り部としては最適だろう。

 

さて、伊藤計劃さんの小説の特徴は、わかりやすさにあると思う。比較的出現する言葉は難解であるが、それをほったらかしにせず、説明と分からせないような口調で理解させてくれる。

この丁寧さこそが、僕が伊藤計劃さんが好きな理由かもしれない。

 

説明というと、どうしても醒めてしまう印象がある。

作者としても、語感からその単語を選んだのに、その解説で異なる単語を使用するのは、あまり好きではないと思う。

作者を現実に引戻させないよう、素晴らしい解説を文中に散りばめられている。

 

それは今回にも言えることだ。

この小説は、伊藤計劃さんのオリジナルではない。いわゆる二次創作である。

 

僕が初めてMGS(ただしくはMG)シリーズに触れたのは、GC版MGSだった。僕がTPSに目覚める火付け役だったと行ってもいい。それから僕はMGS4まで、全てのシリーズ作品をプレイしてきたのであった。

もちろん、それだけの知識のバックボーンがあるからこそ、この小説を楽しめたというのもあるだろう。

 

だが、だ。この小説は、MGSをプレイしていない方にも読んでいただきたいのである。

未プレイでも、その世界観を存分に理解できるよう、素晴らしい文章が描かれているのだから。

 

入り口はどうだって構わないと思う。

 

僕みたいなゲームから入った人には、この一冊で、”スネーク”の歴史を振り返ることができる、素晴らしい本という存在。

ストーリーをおさらいするのに、ゲームを1からプレイしていては時間が足らないし、さらには解説(ネタバレ)を読んだのでは味気ない。

シリーズ経験者には、第三者視点でもう一度、シリーズを味わえるという旨味があるのだ。

 

逆に、この本が最初の入口になる人もいるだろう。

その場合は逆だ。確かに、1~4の作品をほとんど網羅しているこの本であるが、読み終わった時、メタルギアソリッドシリーズをプレイしたくなるに違いない。

本を入り口にゲームという媒体を用いて、”スネーク”のストーリーを追体験する。

これもまた、存分に面白いと思うのである。

 

というわけで、シリーズ経験者は必読。

シリーズ未経験者もまた、必読なのである。