にちじょう

なにげないひびを、つらつらと

エリート街道 一話

僕の名前は、小林優<こばやしすぐる>。

 

このたびは、念願の東浜大学に入学して、有頂天になっているところだ。

中学校から受験をし、血も滲む思いで勝ち取った今回の合格。有頂天になるのも頷けるだろ。

 

ここで自慢ついでに東浜大学の紹介をさせてくれ。

といってもだれでも知っている大学だ。この国のエリートをずっと昔から輩出してきた大学。いわゆる旧帝国大学の頭だ。

文系理系問わず就職にはめっぽう強いし、ここ最近の不況にもめげず、ありえないほどの就職倍率をたたき出している。

アベノミクスの矢が力を見せ始めている影響もあるのだろうが、それをかんがみても、この大学の就職倍率は異常だ。

 

まあ、そんなことは関係ない。

僕はこの大学に入学した。その思いだけで、今は満たされている。

 

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今日は待ちに待った入学式だ。

この日から、僕はとうとう、名門”東浜大学”の名簿に名を連ねることになるのだ。

 

恥ずかしい話だが、前日はわくわくして寝ることができなかった。センター試験とか、二次試験の勉強でも、前日はぐっすり眠れたのにな。

 

まあ、そんなことはどうでもいい。

 

ーあの難関を勝ち上がった仲間に会えるなんて

 

そんな思いを胸に、僕は最寄り駅の改札をくぐった。